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オープンイノベーションにおける外部技術シーズの探索チャネルと活用戦略

Tags: オープンイノベーション, 研究開発, 技術シーズ, 探索, 活用戦略

オープンイノベーションにおける外部技術シーズの探索チャネルと活用戦略

技術革新のスピードが増す現代において、自社リソースのみで競争優位性を維持することは一層困難になっています。オープンイノベーションは、外部の知見や技術を積極的に取り込むことで、研究開発の効率を高め、新たな価値創造を加速する重要な手法として認識されています。特に研究開発部門においては、外部技術シーズの効果的な探索と、それを事業へと繋げる活用戦略の構築が、部門の成果ひいては企業の成長に直結いたします。

本稿では、オープンイノベーションにおける外部技術シーズの主要な探索チャネルとその特性、効果的な探索戦略、そして発見したシーズをどのように評価し、事業に活かすかという活用戦略について、研究開発部門マネージャーの視点から解説いたします。

外部技術シーズの主要な探索チャネルとその特性

外部技術シーズを探索するためのチャネルは多岐にわたります。それぞれのチャネルは異なる特性を持ち、探索目的やターゲットとする技術分野によって最適なチャネルは異なります。

これらのチャネルを単独で利用するのではなく、複数のチャネルを組み合わせることで、より網羅的かつ効果的な探索が可能になります。

効果的な探索戦略の構築

外部技術シーズの探索は、単に多くの情報に触れるだけでなく、戦略的に行うことが重要です。

  1. 技術戦略との連動: 企業の技術戦略や事業戦略に基づき、探索すべき技術領域や満たすべき要件を明確に定義します。これにより、無数の情報から真に必要なシーズを見つけ出す精度が高まります。
  2. 探索基準の明確化: どのような技術レベル、成熟度、知財状況、事業適合性を持つシーズを求めるのか、具体的な評価基準を事前に定めます。これにより、評価プロセスの客観性が保たれ、迅速な意思決定が可能となります。
  3. 探索プロセスの体系化: 定期的な情報収集活動、シーズ候補の初期評価、詳細評価、社内共有といった一連のプロセスを体系化し、担当者や役割を明確に定めます。これにより、探索活動の継続性と効率性が向上します。
  4. 探索体制の構築: 探索を専任で行うチームを置くか、既存の研究開発チームに兼任させるか、あるいは外部の専門機関を活用するかなど、自社のリソースと目的に合わせた体制を構築します。

探索で見つけたシーズの評価と選定

有望なシーズ候補が見つかった場合、次の段階は評価と選定です。多角的な視点から評価を行うことで、リスクを低減し、成功確率を高めることができます。

これらの評価は、定量的なデータと定性的な情報を組み合わせて行うことが望ましいです。評価基準に基づきスコアリングを行うなど、複数のシーズ候補を比較検討できる仕組みを導入することも有効です。

シーズ活用戦略の多様性

評価を経て選定されたシーズは、様々な形で事業に活用することが可能です。

どの活用戦略を選択するかは、シーズの性質、パートナーとの関係性、自社の戦略目標、リスク許容度などによって総合的に判断されます。

探索から活用までのプロセスにおける留意点

外部技術シーズの探索から活用に至るプロセスでは、技術的な側面だけでなく、様々な要素への配慮が必要です。

結論

オープンイノベーションにおける外部技術シーズの探索と活用は、研究開発部門の重要な役割です。多岐にわたる探索チャネルの中から自社に合ったものを選び、戦略的に探索活動を進めること、そして発見したシーズを多角的な視点から適切に評価することが、有望なシーズを選定する上で不可欠です。さらに、シーズの性質や自社の状況に応じた適切な活用戦略を選択し、社内外の関係者との連携を密に行うことが、外部技術を自社の力に変え、新たな価値創造を実現するための鍵となります。

継続的な探索活動と、探索・評価・活用のプロセス全体を最適化する取り組みは、企業の研究開発力を高め、持続的な成長を支える基盤となります。